NewYorkTimes誌「2024年に訪れるべき52か所」

2024年1月10日、年明けの山口県に衝撃が走ったニュース。
アメリカのNewYorkTimes誌が、世界の旅行先で「2024年に訪れるべき52か所」を発表し、日本から『山口市』が選ばれました。

“行くべき旅行先 52か所”に山口市 ニューヨーク・タイムズ | NHK | 山口県

このリストは、世界各国のライターが推薦した都市の中からNewYorkTimes誌の編集部が選ぶもので、山口市を推薦したのは、日本在住の作家で写真家のクレイグ・モドさん。
クレイグさんは20年以上日本在住。日本各地を訪れた経験があり、前回の「盛岡市」を推薦した方でもあるそうです。

クレイグさんはご自身のウェブサイトで、今回、山口市を推薦した経緯について説明されています。

Yamaguchi City — My ‘New York Times’ Pick This Year — Ridgeline issue 177 (craigmod.com)

そこで言及されている「山口市の魅力」について、少しだけご紹介したいと思います。

山口市の魅力とは

Yamaguchi is often called the “Kyoto of the West,” though it’s much more interesting than that — and it suffers from considerably less “tourism pollution.”

Yamaguchi City — My ‘New York Times’ Pick This Year — Ridgeline issue 177 (craigmod.com)

記事の中では、「山口市はよく『西の京』と呼ばれるが、それよりもはるかに興味深い」としたうえで、「tourism pollution(観光公害)」と呼ばれる事象のない地方都市・山口市ならではのユニークな側面について言及されています。

国宝・瑠璃光寺五重塔、街中の小径での様々な体験、洞春寺の境内にある水ノ上窯、新しいスタイル・古いスタイルの様々なコーヒーショップ、おでんや鍋料理を提供するカウンターだけのお店や湯田温泉街。600年以上の歴史のある、山口市の祇園祭りなど・・・山口市への滞在で感じられたその魅力が様々挙げられていますが、

古いものを守りながらもその環境の中で新しいものが生まれている、人々の活気に溢れた生活感のある街並みに魅力を感じ、その中で生きる「人」との出会いについて語られている点が印象的でした。

萩市にも少し触れられている

そして、萩市として見逃してはならない一文も。

Clearly, I was impressed from the get-go. And the Hagi Ōkan walk was genuinely pleasant. (Hagi, itself, up north, abutting the Sea of Japan is also a charming city, and one I’d like to go back to and spend more time in.)

Yamaguchi City — My ‘New York Times’ Pick This Year — Ridgeline issue 177 (craigmod.com)

​山口市への滞在中、萩往還の散策もされたとのこと。
「北の日本海に面した萩市も魅力的な街で、また訪れてゆっくり過ごしたい街です。」ともコメントされています。

その魅力はきっと、山口市だけではない。

今回、クレイグさんが「山口市の魅力」として言及されたものは、特定の観光スポットに限るものではありませんでした。

古き良きものの中にある新しいもの。街並みの中に生きる人々の生活。それらが調和し、適切なバランスを保っている「街」としての魅力。

ここで語られている「魅力」とは山口市だけにあるものではなく、萩市にも、そして山口県内の多くの地域にも同じように存在する魅力だと感じました。

 If Kyoto and Kanazawa and Hiroshima are the A-sides of Japan, Yamaguchi and Morioka are B-sides — the side often containing the understated genius of a record. 

Yamaguchi City — My ‘New York Times’ Pick This Year — Ridgeline issue 177 (craigmod.com)

「京都・金沢・広島が日本のA面だとしたら、山口と盛岡はB面、レコードで言うと控えめな天才性が含まれることが多い面です。」

When I travel I’m not looking for the most delicious bowl of ramen or the perfect croissant,2 but rather archetypes of ways of living that set my imagination ablaze, that make me grateful to have encountered those people, and grateful for the social and political infrastructure that exists, allowing these people to live in their own, additive ways.

Yamaguchi City — My ‘New York Times’ Pick This Year — Ridgeline issue 177 (craigmod.com)

「私が旅するときに求めているものは、最高においしいラーメンや完璧なクロワッサンではなく、私の想像力を刺激し、それら人々との出会いに感謝するような生き方の原型(archetypes of ways of living)です。そして、これらの人々が独自の方法で生きることができる社会的・政治的環境に感謝します。」

その街の営みを「魅力」として捉える視点

今回の山口市を推薦された経緯から気づいたことは、「旅行客が旅行先に求めるものは、有名なランドマークを訪れる体験だけではない」ということ。その街にある営みを「魅力」として捉える視点、観光資源として認識する必要性を強く感じました。

萩市は、国内有名観光地で発生しているオーバーツーリズムといった事象とは未だ無縁ですが、この町にはたくさんの史跡や旧宅、萩焼の窯元や老舗の蒲鉾屋さん、個性豊かな飲食店やカフェなど、歴史ある町並みとともにそこに生きる人々の生活が感じられるような、小さな観光スポットがたくさんあります。

そして山あり海あり島嶼部ありの様々な気候を有する萩の地で生まれる食材、人々の生活とともにある「食文化」も、この町の魅力であり、訪れた方に体験していただきたい大切な観光資源です。

私たち道の駅萩往還が扱う商材は、萩市内の生産者さん・事業者さんの商品です。
この町で生きる人々の生活とともにある、この町ならではの「特産品」。それも、この町にとって大切な魅力の一つです。

道の駅萩往還が「萩の特産品を介して、ここを訪れる皆様へ萩市の魅力を伝える場所であるということ」を再度認識するとともに、そのような場所としてどうあるべきか。私たちの役割についても、改めて考えるきっかけになりました。

今回のNewYorkTimes誌への掲載は、山口市・山口県に国内からも海外からも多くの方に足を運んでいただけるきっかけになると思います。
その際はぜひ、萩市にも足を運んでいただけるといいな・・・と願いつつ、日本のA面にはないB面に光を当てその魅力を多くの方に伝えてくれたクレイグさんに感謝し、私たちも頑張りたいと思います。

文責/道の駅萩往還 土田愛美

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