駅長の手紙 2025.8

道の駅萩往還を運営する一般社団法人萩物産協会の会員(正会員・準会員)の皆様に、毎月の精算書と一緒にお届けしている「駅長の手紙」。
ユーモアあふれる日常の話題から萩全体の課題への真面目な考察まで、毎月ジャンルを問わない多岐にわたる話題で隠れファンもたくさんいるとかいないとか。

会員皆様宛の手紙とは別に、毎月の給与明細とともに道の駅萩往還のスタッフ全員に渡している手紙もあります。こちらも日々の業務の中で生まれた気づきと、道の駅萩往還の理念を伝える駅長からのメッセージ。つまりは、道の駅萩往還の歴史そのものです。

そんな駅長の手紙を道の駅萩往還の記録として未来に残すため、公式ホームページでシリーズとして毎月掲載いたします。ぜひご一読ください。

※「駅長の手紙」における発言内容は、駅長・篠原の個人的な意見です。
※表現の一部に不適切な点が含まれる可能性がありますが、著者の意図を尊重し、原文のまま掲載しております。

萩物産協会 会員皆様宛

一般社団法人 萩物産協会会員 皆様

令和7年8月
道の駅萩往還 駅長:篠原 充

相島スイカが「まぼろし」になる日

 拝啓 残炎の侯、時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

 先日、相島でスイカを生産していらっしゃる方が「何年かすれば、相島スイカは幻のスイカになる」とおっしゃいました。

 萩市HPの「萩市の人口」によると、相島の0~14歳の人口は、2021年3月時点で5人。翌年には0人。現在、相島小中学校は休校中で、14歳以下の児童・生徒が1人もいない地域になっています。

 萩六島村では、尾島が1973年、肥島が1965~68年に無住集落になり、櫃島は2025年4月現在の人口が2人だそうです。相島は高齢化も深刻で、スイカ生産者のほとんどが70歳を超えていらっしゃいます。

 高橋博之著「関係人口」を読んで、深く感銘を受けました。深刻な人口減少、高齢化が進む我が国において、都市に住む人が、過疎地域に積極的に関わる「関係人口」を増やすことによって、地方創生を図る概念が提唱されています。「関係人口」とは、一時的な観光やビジネスで地域を訪れる「交流人口」ではなく、その地域に縁がある人(自身や両親・祖父母の故郷、ボランティアで深く関わったなど)が、時季やライフステージに応じて消費活動や、仕事を通じた地域の担い手として貢献する人たちです。

 著者は、東日本大震災、能登地震の復興に深く関わった経験から、「二地域居住」という新しい制度を政府に提案し、法制化第一歩となる「ふるさと住民登録制度」に係る案が、令和7年6月13日に閣議決定されました。

 観光地に大きな経済効果をもたすのは「交流人口」です。理想は交流人口が訪問した事をキッカケに「関係人口」になり、最後は「定住人口」になることです。

 人間の命同様に、集落も終わりを迎えるときがきます。最も尊重すべきは、住民の方の気持ちです。一例としてですが、相島は交通インフラ(連絡船)で本土から目と鼻の先。関係人口による「通勤農業」も十分可能な地域です。

敬具

道の駅萩往還 スタッフ宛

道の駅萩往還 従業員 各位

令和7年7月
道の駅萩往還 駅長:篠原 充

萩市全体の恥にならぬよう

 みなさんは、毎日よく頑張ってくれています。接客や電話応対、在庫の管理や掃除まで、文句なしです。

 私は、型にはまった仕事が大嫌いで、お辞儀の角度や言葉遣いまで細かく言いません。大事なのは「型」ではなくて、「心がこもっているか」が肝心で、みなさんの本心は別として、お客さんに「心がこもっている」と思ってもらえばそれで良いです。なので、みなさんの仕事ぶりに対して、小さな事で気になる事はたくさんありますが、あえて口出しせずに、任せています。

 何年か前、この給与メッセージで「最高のBGM」と「最悪のBGM」を書いたことがあります。「最高のBGM」とは、スタッフとお客さんの洗練された会話。「最悪のBGM」とは、スタッフ同士の「私語」です。

 私が色々な店に行って、最も不愉快な思いをするのが、スタッフ同士がペチャクチャしゃべっているときで、「この店、オーナーもクソバカだな」と思います。さらには、施設全体の印象も最悪になります。二度と行きません。

 スタッフ同士の会話は、たとえ「仕事の話し」であっても、お客さんがいらっしゃるときは、細心の注意が必要です。お客さんから見れば、仕事の話しか無駄話しなのか、区別がつかないからです。伝票や商品を持って話していれば、仕事の話しだとわかります。それ以外は、区別がつきません。仕事の話しでも、笑いながらしゃべっていれば、無駄話しに見えます。

 お客さんも、何かの仕事をしていらっしゃる方がほとんどです。経営者の方もたくさん来られます。口には出されませんが、「この店バカか!」と思われます。しゃべっていたスタッフは「仕事の話しよ?」と罪の自覚ゼロ。

 私たちは、萩の玄関口で仕事をしています。私たち直営店の恥は、道の駅全体の恥、萩物産協会全体の恥、萩市全体の恥になります。気をつけましょう。

一カ月ごくろうさまでした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA