駅長の手紙 2025.11
道の駅萩往還を運営する一般社団法人萩物産協会の会員(正会員・準会員)の皆様に、毎月の精算書と一緒にお届けしている「駅長の手紙」。
ユーモアあふれる日常の話題から萩全体の課題への真面目な考察まで、毎月ジャンルを問わない多岐にわたる話題で隠れファンもたくさんいるとかいないとか。
会員皆様宛の手紙とは別に、毎月の給与明細とともに道の駅萩往還のスタッフ全員に渡している手紙もあります。こちらも日々の業務の中で生まれた気づきと、道の駅萩往還の理念を伝える駅長からのメッセージ。つまりは、道の駅萩往還の歴史そのものです。
そんな駅長の手紙を道の駅萩往還の記録として未来に残すため、公式ホームページでシリーズとして毎月掲載いたします。ぜひご一読ください。
※「駅長の手紙」における発言内容は、駅長・篠原の個人的な意見です。
※表現の一部に不適切な点が含まれる可能性がありますが、著者の意図を尊重し、原文のまま掲載しております。
萩物産協会 会員皆様宛
一般社団法人 萩物産協会会員 皆様
令和7年11月
道の駅萩往還 駅長:篠原 充
あんぱんまん
拝啓 錦秋の侯、時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
今年4月から10月にNHK朝ドラ「あんぱん」が放送されました。「アンパンマン」の作者の故・やなせたかしさんと、奥様の故・暢(のぶ)さんをモデルにしたドラマで、作者の幼少期から戦争体験、そしてアンパンマンが生み出されるまでの努力と成功までの長い道のりが描かれていました。今では誰もが知っている「アンパンマン」ですが、単行絵本の初出は今から約50年以上前の1973年。作者が54歳のときだそうです。今とはキャラのデザインが少し違い、タイトルもひらがなの「あんぱんまん」でした。当初、全く売れないどころか、保護者から「自分の顔を食べさせるのが残酷」とか、「気持ち悪い」といった多くの非難をあびたそうです。
アンパンマンのテーマは通底して「逆転しない正義」。作者は自らの戦争体験から「戦いの中で、いかに正義が信用しがたいものか」を痛感し、アンパンマンを「正義の味方であれば、先ず食べさせること、飢えを助ける。」という、立場や国が違っても、決して逆転しない正義のヒーローとし、それまでの、かっこ良く、強い力や武器を持ち、正義を振りかざして相手を徹底的に叩きのめすヒーローとは全く違うイメージのヒーローを生み出されました。
先日、小学5年の娘の教室に「読み聞かせ」に行きました。読んだ絵本は1973年初出の「あんぱんまん」。最初、生徒たちの反応は「え~?今さらアンパンマン????」でしたが、次第に今とは少し違う昔の「あんぱんまん」に興味津々になり、読み終えた後には、クラスのみんなと「逆転しない正義」について考えました。
私から生徒に「アンパンマンは、自分の顔を食べさせてあげると、たちまち弱ってしまう。それでもお腹が空いた人がいると、食べさせてあげる。困った人がいれば、必ず寄り添って、力になってあげる。ところで、アンパンマンは、助けたお礼に、お金もらったことある?」とか、「アンパンマンは、ウルトラマンみたいに、怪獣を倒すために街を破壊し、そのまま片づけずにどっか行ったことある?」といった質問を投げかけました。生徒たちの答えは「ない!!!」。
続けて「アンパンマンは、バイキンマンを殺したことがある?」の問いかけに、生徒たちは、さらに大きな声で「なぁーい!」。「・・・・・そう、アンパンマンは殺さないよね」と私。
最後に「じゃあ、アンパンマンは、バイキンマンが困っていたらどうする?」に、生徒たちは一斉に「助けてあげる!!!!!!」でした。
私は、やなせさんの「逆転しない正義」とは、見返りを決して求めない「無償の愛」だと思っています。やなせさんの「大事な魂」は、しっかり子供たちに伝わっているようです。
アンパンマンは、いつもニコニコしています。そして、今日も困った人を助けるために、どこかの空を飛んでいます。残念なことに、大人になるとアンパンマンの姿が見えなくなるようです。
敬具
道の駅萩往還 スタッフ宛
道の駅萩往還 従業員 各位
令和7年10月
道の駅萩往還 駅長:篠原 充
おかげさまで15周年
当駅が開業したのが2010年10月13日。先日15周年を迎えました。みなさんの日々の「良い仕事」の積み重ねがあってこその15年間です。心より感謝いたします。ありがとうございます。
さて、同じ日に、大阪関西万博が閉会しました。当初、コスト問題や建設の遅れなど、万博に対し否定的な報道ばかりでしたが、結果、一般来場者2,500万人超え。商業的にも大成功。人々の記憶に残る素晴らしい万博でした。
一方、万博開催期間中、地方の寂れた観光地は万博に人が流れた分、低迷し、夏の酷暑が追い打ちをかけ、厳しい状況が続きました。当駅も4月から9月までの実績は、過去最低レベルで今日まできています。
今年度の勝負はこれからです。万博も閉会し、10月に入ってすっかり涼しくなって、週末には多くのお客さんで賑わうようになりました。
当駅の「年度」は、4月1日から翌年3月31日までです。ちょうど10月1日から後半がスタートしたところです。
我々は民間の事業所です。人が集まるだけでは何の意味もありません。要は「売ってなんぼ」です。私たちの給料や店の諸経費などの原資は100%、全て売り上げが元です。
前半のマイナスを挽回し、後半、しっかりお小遣いもかせぎましょう!
今月もありがとうございました。


