駅長の手紙 2025.6

道の駅萩往還を運営する一般社団法人萩物産協会の会員(正会員・準会員)の皆様に、毎月の精算書と一緒にお届けしている「駅長の手紙」。
ユーモアあふれる日常の話題から萩全体の課題への真面目な考察まで、毎月ジャンルを問わない多岐にわたる話題で隠れファンもたくさんいるとかいないとか。

会員皆様宛の手紙とは別に、毎月の給与明細とともに道の駅萩往還のスタッフ全員に渡している手紙もあります。こちらも日々の業務の中で生まれた気づきと、道の駅萩往還の理念を伝える駅長からのメッセージ。つまりは、道の駅萩往還の歴史そのものです。

そんな駅長の手紙を道の駅萩往還の記録として未来に残すため、公式ホームページでシリーズとして毎月掲載いたします。ぜひご一読ください。

※「駅長の手紙」における発言内容は、駅長・篠原の個人的な意見です。
※表現の一部に不適切な点が含まれる可能性がありますが、著者の意図を尊重し、原文のまま掲載しております。

萩物産協会 会員皆様宛

一般社団法人 萩物産協会会員 皆様

令和7年6月
道の駅萩往還 駅長:篠原 充

はあ? 開いた口が塞がらない

 拝啓 向夏の候、時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

 東京ディズニーリゾート(TDL)を経営する株式会社オリエンタルランド(OLC)の2024年3月期の連結売上高が約6,185億円。営業利益約1,654億円。ディズニーリゾートの来園者数約2,756万人。客単価が16,644円だそうです。

 投資の額も圧倒的で、2024年6月には園内に、新たに3,200億円を投じた「ファンタジースプリングス」をオープン。さらに同年7月に3,300億円を投じて船内でディズニーの世界を満喫できる大型客船(日本船籍)の新造を発表し、2028年就航予定だそうです。

 OLCの凄いところは巨額の投資+追加投資だけではなく、優れた経営戦略にあります。TDLのコンセプトは「夢と魔法の国」。園に一歩足を踏み入れた瞬間から広がる夢の世界。目に見える建物だけでなく、音楽や効果音、凝った演出のショーなど、五感で感じる演出が盛り込まれています。まさに、リアルな映画の世界への没入体験です。また、それらを常にアップデートしています。

 プロモーションも超一流で、ディズニー映画、各種メディア、ゲストが発信するSNSまで効果をきめ細かく分析し、全てを有機的に結びつけています。

 プロダクト品(商品)も、デザインやクオリティ、生産、流通、販売チャネルまで一貫して管理し、価格設定も絶妙です。

 キャスト(従業員)の人材育成にも注力されています。TDLで働く約2万人のキャストは、企業の理念とそれぞれの役割を理解し行動しています。身だしなみや言葉遣い、表情に至るまでゲストを満足させることに徹して働き、世界トップレベルのホスピタリティを実現しています。

 これら全ての事が、来園者の90%以上がリピーターという驚異的な数字につながり、TDLの「破格のブランド力」を支えています。

 昨年、地元の報道で、萩とTDLを観光目線で「同列」に語る記事を目にしました。「次の休みに萩に行こうか、TDLに行こうか」といった内容でした。 

私は今でも、開いた口が塞がっていません。

敬具

道の駅萩往還 スタッフ宛

道の駅萩往還 従業員 各位

令和7年5月
道の駅萩往還 駅長:篠原 充

まあ「売るしかない」いうことであります

 先月のコラムで、令和6年度の利益が+●万円で「ビデオ判定中」と伝えました。税理士と調整後、確定した結果は+●万円。物産館、農産物直売所、軽食の部門別では、赤字もありました。

 2010年の開業以来15年間、年間の利益が100万円を切るのは、今回が初めてで、今年また消耗品が値上がりすると、来年は確実に初の赤字になります。

 人件費も、例えば年収300万円の従業員が1人いるとします。会社は給料だけでなく、保険料など様々な法定福利費や厚生費を支払っていて、給料以外に1人当たり年間60万円ほど別に負担しています。従業員1人の月給を3,000円上げたとします。年間で36,000円。10人で年間360,000円。福利厚生費も含めれば、合計50万円近くになります。

 当駅の販売手数料は、加工品が30%。農産物はわずか16%です。50万円かせごうとすると、年間200万円以上、前年より多く売らないといけません。実際は、光熱費や消耗品などの経費も上がりますので、まあ、ざっと500万円くらいのプラスの売り上げが必要です。

500万円÷365日=1万4千円
1日1万4千円、余分に売れば、達成します。

 物産館で7千円。農産物で6千円。軽食で1千円。合わせて1万4千円。1日2~3人のお客さんに、声掛けして売るだけで達成します。できない理由はありません。

 道の駅萩往還の事業は、行政の補助が一切ない、民間事業です。やってもやらなくても給料が大して変わらないことは、絶対にありません。 

一カ月(特に大型連休)、ごくろうさまでした

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