駅長の手紙 2025.1
道の駅萩往還を運営する一般社団法人萩物産協会の会員(正会員・準会員)の皆様に、毎月の精算書と一緒にお届けしている「駅長の手紙」。
ユーモアあふれる日常の話題から萩全体の課題への真面目な考察まで、毎月ジャンルを問わない多岐にわたる話題で隠れファンもたくさんいるとかいないとか。
会員皆様宛の手紙とは別に、毎月の給与明細とともに道の駅萩往還のスタッフ全員に渡している手紙もあります。こちらも日々の業務の中で生まれた気づきと、道の駅萩往還の理念を伝える駅長からのメッセージ。つまりは、道の駅萩往還の歴史そのものです。
そんな駅長の手紙を道の駅萩往還の記録として未来に残すため、公式ホームページでシリーズとして毎月掲載いたします。ぜひご一読ください。
※「駅長の手紙」における発言内容は、駅長・篠原の個人的な意見です。
※表現の一部に不適切な点が含まれる可能性がありますが、著者の意図を尊重し、原文のまま掲載しております。
萩物産協会 会員皆様宛
一般社団法人 萩物産協会会員 皆様
令和7年1月
道の駅萩往還 駅長:篠原 充
知行合一
拝啓 新春の候、時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
「知行合一(ちこうごういつ)」とは、中国、明の時代の儒学者王陽明が唱えた中心思想のひとつで、意訳は「行動を伴わない知識は未完成である。」ということだそうです。この思想は日本の幕末の志士たちに大きな影響を与え、吉田松陰先生の座右の銘として、松下村塾にも掲げられていた言葉です。
さて、昨年2月、当駅の運営母体である萩物産協会の理事会で、萩の未来を切り開く新規大型複合施設の提案をしました。その後さらに5月の理事会、6月の総会で、萩物産協会のひとつの「意思」として計画を実現させるための「模索」をスタートすることをご承認いただき、萩の民間の最重要企業・団体それぞれのトップ18名の方々と、時と場所を変えて個別に協議させていただきました。話のスケールがあまりにも大きいため、反応は様々でしたが、私としては大きな手応えを感じた次第です。
複合施設の最も重要なキーワードは「ゲートウェイ・ハブ」。萩の歴史・文化・営みを、国内外の方に確実に届け、一度限りではない、一生を通じて萩のファンベースになっていただく機能です。もうひとつは、「プラントまるごと」。工芸品や食品加工などの工場をまるごと移設していただき、一か所に集約するというもの。加えてスタートアップ企業のためのチャレンジショップエリアや、情報発信のための専用スタジオ、子供食堂や防災設備などを備えたまさに複合型施設。しかも、全てのエレメントが、萩の地元企業であるということ。
私の頭の中では、すでに具体的に施設は出来上がっています。建設費はおおよそ100億円程度ですが、「空想の世界」ですので、現在の費用は視察やパースの作成費以外は実質0円。今年はこの「知」を、「行」に移すための第一歩を踏み出す年だと決意しています。まずは、1月末の萩商工会議所女性会・青年部の皆様の合同企画でのプレゼン。実現への大きな「流れ」を創っていく所存です。
今年もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。
敬具
道の駅萩往還 スタッフ宛
道の駅萩往還 従業員 各位
令和6年12月
道の駅萩往還 駅長:篠原 充
今年の漢字
今年の漢字が「金」と発表されました。理由は、光の「金」として、パリオリ・パラリンピックでの日本人の活躍や大谷翔平選手のMVP獲得、佐渡金山の世界遺産の登録など。影の「金」としては、政治の裏金問題、金目当ての闇バイト、止まらない物価高騰などだそうです。
みなさんは、自分自身の2024年を漢字1文字で表すと、どんな漢字を選びますか?
私は「案」です。理由は、みなさんが、それぞれの部署で持ち味を発揮してくれ、私があれこれ口や「案」を出さなくても、みなさん自身が成長し、考え、行動してくれたこと。たまには文句を言いますが、もう、任せても大丈夫です。業績は、コロナ明け以降も萩市の観光が低迷しているため、決して好調とは言えませんが、みなさんの努力のおかげで許容範囲ギリギリの「案外悪くない」といったところです。
もうひとつの理由は、今年2月の理事会で、私がある「案」を提案しました。萩市のこれから10年、20年先の未来をデザインする大型の計画です。その後、5月の理事会で計画に着手することが承認され、萩の重要人物と協議を重ねてきました。あくまで計画段階で、何も正式ではありませんし、話があまりにも大きいため、反応はさまざまですが、大きな手応えを感じています。
私は毎日、大酒を飲んで、タバコを吸っていますが、今のところ健康に問題はありません。しかし、この計画が実を結ぶのは、先の話し。どうなっているかわかりません。プロ野球で例えると、新しい「球団」を創設し、世界のどこにもないすばらしい「球場」を造るのが私の仕事。そこで実際にマウンドに立ち、バッターボックスに立つのは、私のボールを受け継いでくれたみなさんや、みなさんの次の世代です。
今年1年、本当にごくろうさまでした。


